「メノポハンド」ってご存知ですか?
メノポハンドという言葉は、最近NHKの健康番組で取り上げられたこともあり、当院でも、ご質問を受けることがよくあります。今回のコラムでは概要を説明させていただきます。
~更年期と手の不調の関係~
更年期を迎えた頃から、こんな症状に悩まされたことはありませんか?
・朝、手がこわばって握りにくい
・指の関節が腫れて痛む
・ペットボトルのふたが開けづらい
・手のしびれが続いている
これらの症状、もしかすると「メノポハンド」かもしれません。
メノポハンドとは?
「メノポハンド」は、更年期(menopause)に関連して現れる手や指の不調を指す言葉です。女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少が、関節や腱に影響を及ぼし、痛みやしびれ、こわばりなどの症状が出やすくなると考えられています。
具体的には、以下のような疾患として現れます。
・ばね指(腱鞘炎)
・手根管症候群
・へバーデン結節・ブシャール結節
・母指CM関節症
これらは、当クリニックのコラム「手の症状でお困りの方へ part1~4」でも詳しく解説しています。気になる症状がある方は、ぜひそちらもご覧ください。
なぜ更年期に手の症状が多いの?
エストロゲンは、関節や腱の潤滑、炎症の抑制などに関与しています。
更年期にその分泌が減少すると、腱や関節が炎症を起こしやすくなり、
関節の痛み、腱鞘炎、しびれなどが出やすくなるのです。
さらに、更年期以降は骨密度も低下しやすく、骨粗鬆症や関節変形のリスクも高まります。
更年期と手の症状
更年期には数多くの症状があります。
代表的なものとしては「ホットフラッシュ(のぼせ・発汗)」が有名ですが、実際には手のこわばりや関節の痛み、しびれなどを主な症状とする方も少なくありません。
このように、症状は人によって異なり、ある人はのぼせ中心、またある人は手指の不調が中心となることがあります。こうした更年期にみられる多彩な症状は「不定愁訴」と呼ばれ、放置すると変形性関節症などの疾患へ進行する可能性もあります。
どのように対処すればいいの?
症状によって治療方法は異なりますが、
当院では以下のような段階的な治療をご提案しています:
1.正確な診断(必要に応じてエコー検査を併用)
2.保存的治療(安静、装具、薬、注射、代替療法など)
3.ハンドセラピィによるリハビリ
4.症状が強い場合の手術治療(局所麻酔の日帰り手術)
症状の程度や患者さんの生活スタイルに合わせて、一人ひとりに最適な治療をご提案します。
代替療法としてのエクオール
近年注目されているのが、エクオールという大豆由来の代謝物です。
エクオールはエストロゲンに似た働きを持ち、閉経後でエストロゲンが不足した受容体に結合し、エストロゲン様の作用を示すことが知られています。
日本はエクオールの先進国であり、医学書籍(今日の治療指針)においても手指の不調に対する代替療法として掲載されています。