手の症状でお困りの方へ 〜Part 2 手くび周辺の痛み編〜|西宮市の整形外科|かつ整形外科・手のクリニック

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医療コラム

手の症状でお困りの方へ 〜Part 2 手くび周辺の痛み編〜|西宮市の整形外科|かつ整形外科・手のクリニック

手の症状でお困りの方へ Part 2 手くび周辺の痛み編

 

手くびには手根骨と呼ばれる小さな骨が8つ集まっています。

それぞれに小さな関節があり、その周辺には腱・腱鞘・三角繊維軟骨複合体(TFCC 後述)などが隣接しています。私自身は触診による部位の特定が最も重要であると考えていますが、レントゲンのみならず、必要に応じてエコーも併用しながら詳細な診察を行います。

 

考えられる代表的な疾患

  • ドケルバン病(腱鞘炎)
  • ・母指CM関節症
  • ・尺側手根伸筋腱腱鞘滑膜炎
  • 三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)

ドケルバン病(腱鞘炎)

概要

ドケルバン病(De Quervain病)は、親指を伸ばしたり広げたりする腱を覆っている腱鞘というトンネル部分に炎症が起こり、痛みや腫れを引き起こす腱鞘炎です。

症状

  • 手くびの親指側に痛みや腫れを感じる。
  • 親指を動かすと痛みが走る
  • 物を握ると手くびの親指側に痛みを感じる。

治療法

ばね指に対する治療と同様で、炎症を抑えるための薬物療法・腱鞘内への注射療法・症状が強い場合はリハビリや手術が検討されます。

母指CM関節症

概要

母指CM関節症は親指の付け根の変形性関節症です。親指の付け根にある手根中手関節(CM関節)が変形し、痛みや機能障害を引き起こす疾患です。この関節は、親指が広範囲に動くための重要な役割を果たしていますが、同時に負担がかかりやすく、加齢や長期間の使用により関節軟骨がすり減り、炎症や痛みが生じます。

症状

  • 親指の付け根部分(親指の付け根の手首寄り)に痛みが生じる。
  • ペットボトルのふたを開ける動作、物をつまむ動作で痛みが増強する。
  • 親指の付け根にこぶのような突起が感じられる。

治療法

症状の程度に応じて保存療法(装具の使用・リハビリ・薬物療法・注射療法)から、重度の場合には手術療法が選択されます。

尺側手根伸筋腱腱鞘滑膜炎

概要

尺側手根伸筋腱腱鞘滑膜炎は、手くびの小指側にある尺側手根伸筋腱やその周囲の腱鞘が炎症を起こす状態です。この腱は手首を伸ばしたり、小指側に反らせたりする動作に関与しており、繰り返しの動作や過度な負荷によって炎症が引き起こされることがあります。パソコン作業の多い人にもよく発症します。

症状

  • 手くびの小指側に痛みや腫れを感じる。
  • 手首を動かしていると小指側の痛みが増す。

治療法

薬物療法と、特に注射療法が有効な場合が多いですが、症状の程度に応じて装具の使用・リハビリも併用します。これらの方法を行なっても症状の改善が一時的な場合には手術療法が考慮されます。

三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)

概要

TFCC損傷とは、手首の小指側の関節内にある三角線維軟骨複合体(Triangular Fibrocartilage Complex, TFCC)が損傷する状態です。TFCCは、手首の安定性を保つために非常に重要で、尺骨と橈骨の間、そして手首の小指側の関節を支える軟骨や靭帯などの組織から構成されています。様々な原因で損傷しますが、手や手くびのケガ、繰り返し動作によるストレス、尺骨と橈骨のバランスの問題などで発症します。

症状

  • 手くびの小指側に痛みを感じる
  • 手くびをひねる動作(ドアノブを回す動作や引き戸を開ける動作など)や手くびを小指側に傾ける動作で痛みが増す。

治療法

装具による治療を第一に行います。当院では作業療法士により患者さん一人ひとりの手くびの形に合わせた装具を作成いたします。注射療法を併用する場合もあります。これらの保存療法を行なっても改善しない場合は関節鏡を用いた手術療法が考慮されます。

次回は、〜Part 3 手のしびれ編〜となります。