手の症状でお困りの方へ 〜Part 3 手のしびれ編〜
手のしびれを診察する際、最も大切なのは、症状がどのように現れているかを正確に把握することです。しびれの原因はさまざまです。
診察では、しびれが現れる場所・時間帯や頻度・しびれ以外の症状・発症のきっかけ・生活習慣などにつき、詳しく伺います。
考えられる代表的な疾患
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・手根管症候群
- ・肘部管症候群
- ・頸椎症性神経根症
手根管症候群
概要
手根管症候群は、手くびの手根管という狭いトンネル内で正中神経が圧迫されることによって発症する神経障害です。手根管は、手くびの骨と靭帯で構成されており、正中神経や指を動かすための腱が通過する場所です。この神経圧迫により、手や指にさまざまな症状が引き起こされます。
症状
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親指から薬指の親指側の半分までがしびれる
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手を使っているとしびれが強くなり、手を振ると改善する
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夜間に痛みが増悪したり、起床時にしびれが強い場合がある
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物をつまみにくくなる
治療法
夜間につける装具や注射による保存療法を行います。症状が強い場合や一定期間の保存療法でも改善が一時的な場合は手術が考慮されます。
肘部管症候群
概要
肘の内側にある「肘部管(ちゅうぶかん)」という狭いトンネルを通る尺骨神経(しゃっこつしんけい)が、主にOsborne(オズボーン)靭帯といわれる箇所で圧迫されることによって引き起こされる症状です。尺骨神経は、小指と薬指、手の一部の感覚や筋肉の運動を支配しており、この神経が圧迫されると、手や腕に痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れます。
症状
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小指や薬指の小指側半分がしびれる
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肘の内側を中心として手くびにかけて(前腕部)の痛みを生じることがある
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肘を曲げたまま状態や、肘を頻回に屈伸させるとしびれが強くなる
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手の握力低下や指の動きが不自由になる
治療法
頸椎症性神経根症

概要
頸椎(首の骨)の変性によって神経根が圧迫され、首から腕にかけての痛みやしびれ、筋力低下などの症状を引き起こす疾患です。主に加齢による椎間板や椎骨の変性が原因で、40歳以上の中高年に多く見られます。
症状
- 首から腕にかけての痛みがあり、しびれ感は腕から指先まで至ることがある
- 首を後ろに反らしたり、特定の方向に動かしたりすると症状が悪化することがある
治療法
首のサポーター装着などによる安静、薬物療法(鎮痛薬、神経痛を緩和する薬)、リハビリテーション等により、保存療法で軽快する場合が多いです。
上記は代表的な疾患ですが、これらの疾患が複合して発症する場合や、内科疾患が影響している場合もあります。